キリスト教の天使一覧|九階級と大天使の違いが整理できる!

キリスト教の天使は「神の使い」として聖書に登場し、礼拝や美術の中でも大きな役割を担います。

一方で、天使の名前や階級は伝統ごとに扱いが異なり、「一覧」を探すほど混乱しやすい分野でもあります。

そこで本記事では、よく参照される天使名を整理しつつ、九階級(天使の位階)や大天使の位置づけも合わせて理解できる形でまとめます。

「聖書に出る天使」と「後世の伝承で語られる天使」を区別して読むことで、情報の精度が一気に上がります。

キリスト教の天使一覧

キリスト教で広く知られる天使名は多くありません。

ここでは聖書に明記される三位の大天使を軸にしつつ、外典・教派の伝統で語られる代表的な名も「出典」と一緒に整理します。

名前だけを暗記するより、どの文献・伝統に基づく名称なのかを押さえるのが近道です。

ミカエル

ミカエルは「神のような者」を意味するとされ、戦いと守護のイメージで最も知られる大天使です。

聖書では、悪と戦う天の軍勢の長として描かれる場面があり、信仰と正義の象徴として扱われます。

西方教会ではガブリエル、ラファエルと共に9月29日に祝われることが一般的です。

典礼や信心では「守り」や「悪への抵抗」と結びつけて語られやすい存在です。

名称 ミカエル(Michael)
主な出典 聖書(例:ダニエル10章黙示録12章
役割 天の軍勢の長、悪との戦い
よく描かれる象徴 剣、鎧、竜を踏む
立場・扱い 多くの教派で広く崇敬
関連する記念日 9月29日(西方教会の慣習)

ガブリエル

ガブリエルは「神はわが力」を意味するとされ、神の知らせを伝える使者として有名です。

新約では受胎告知の場面で登場し、「言葉による知らせ」と強く結びつきます。

そのため、受胎告知や福音、祈りの文脈で語られることが多い天使です。

美術では白い百合や巻物など、メッセージ性のあるモチーフで表現されがちです。

名称 ガブリエル(Gabriel)
主な出典 聖書(例:ルカ1章
役割 神の知らせの使者、告知
よく描かれる象徴 百合、巻物、光
立場・扱い 多くの教派で広く受容
関連する記念日 9月29日(西方教会の慣習)

ラファエル

ラファエルは「神は癒やす」を意味するとされ、治癒や導きのイメージで語られます。

トビト記において旅の同伴者として働き、守りと回復に関わる存在として描かれます。

その性格上、旅人や医療、回復祈願の文脈で触れられることが多い天使です。

「天使は霊的存在であり、人の目に映る姿は仮のもの」という含意もトビト記の流れで理解しやすくなります。

名称 ラファエル(Raphael)
主な出典 トビト記(例:トビト12章
役割 癒やし、導き、旅の守り
よく描かれる象徴 杖、魚、旅装
立場・扱い カトリックで特に重視される
関連する記念日 9月29日(西方教会の慣習)

ウリエル

ウリエルは「神はわが光」を意味するとされ、光や知恵と結びつけて語られることがあります。

ただし、聖書正典での扱いは教派によって差があり、外典・偽典側の記述で知られる面が大きい名称です。

そのため「天使一覧」に載っていても、どの伝統の一覧なのかを確認する必要があります。

少なくとも、三位の大天使と同列に「信仰の核心として」扱うかどうかは別問題です。

名称 ウリエル(Uriel)
主な出典 外典・伝承(例:2 Esdras / 4 Ezra 系統の言及)
役割 光・知恵の象徴として語られる
よく描かれる象徴 光、書、炎
立場・扱い 伝統により受容範囲が異なる
関連する記念日 伝統・地域により差

ラグエル

ラグエルは正義や秩序と関連づけられ、裁きや調停の役割を担う天使として語られます。

主にエノク書などの文献で知られ、教派によっては重視される一方、一般的な教会生活で触れる機会は多くありません。

「一覧」に出てくる場合は、エチオピア正教会など特定の伝統を背景にしている可能性が高いです。

そのため、名前を見かけたら出典を一緒に確認する姿勢が重要です。

名称 ラグエル(Raguel)
主な出典 伝承文献(例:エノク書の系統)
役割 正義、秩序、調停
よく描かれる象徴 天秤、巻物
立場・扱い 特定伝統で言及が多い
関連する記念日 伝統・暦により差

レミエル

レミエルは啓示や導きと関わる天使名として挙げられることがあります。

こちらも主に伝承文献側で整理される名称であり、正典中心の教派では必須知識とは限りません。

一方で、宗教文化として天使名を体系的に学びたい場合には、比較対象として知っておく価値があります。

混同を避けるために「どの文献の一覧か」を先に確認すると理解が安定します。

名称 レミエル(Remiel)
主な出典 伝承文献(例:エノク書の系統)
役割 啓示、導きとして語られる
よく描かれる象徴 書、光
立場・扱い 伝統・教派で差が大きい
関連する記念日 伝統・暦により差

サラキエル

サラキエルは「サリエル」などの形で表記されることもあり、伝承文献で見かけやすい天使名です。

天使名は翻訳と転写の影響で揺れが大きく、同一の存在が別表記で列挙されていることもあります。

そのため、一覧を見るときは「別名」「綴り」「出典」をセットで確認すると安全です。

名称だけで断定せず、系統を照合して整理するのが現実的です。

名称 サラキエル(Saraqâêl / Sariel)
主な出典 伝承文献(例:エノク書の系統)
役割 伝承により説明が変わる
よく描かれる象徴 巻物、光
立場・扱い 主に伝承側で整理される
関連する記念日 伝統・暦により差

天使は何者か

天使を「一覧」で追う前に、キリスト教における定義を押さえると迷いにくくなります。

教会は天使を霊的な被造物として理解し、神と人間を結ぶ働きに注目してきました。

ここでは、聖書と教会の教えの要点を短く整理します。

天使の定義と位置づけ

カトリック教会のカテキズムは、天使を霊的で非物質的な存在として語ります。

天使は知性と意志を持つ人格的存在であり、単なる象徴表現として片づけない立場が示されます。

この点は「天使=イメージ」だけで理解してしまう誤解を防ぐ入口になります。

参照先としては、カテキズム(Heaven and Earth)の該当箇所がまとまっています。

天使が登場する主な場面

聖書における天使の働きは、出来事の「節目」で現れやすい傾向があります。

次のような場面を押さえると、天使名を覚えるより先に全体像が掴めます。

  • 神の意志を告げる(告知・導き)
  • 危機から守る(救出・防衛)
  • 礼拝や賛美に関わる(神の栄光の表現)
  • 裁きや終末の文脈に登場する
  • 旅や使命の同行者として描かれる

教会が語るポイント

教派ごとの説明は異なりますが、最低限の枠組みは共通しやすいです。

特に「神が主であり、天使は被造物である」という線引きは重要です。

線引きが曖昧になると、信仰の対象がすり替わるリスクが生じます。

観点 要点
存在 霊的な被造物として語られる
役割 神の意志に仕える使者
崇拝との区別 神と同列に扱わない
情報の限界 名前や数は多くが明かされない

守護天使という考え

キリスト教では、神が人を導くために天使の助けを用いるという理解が語られてきました。

ただし、守護天使を「占い」や「都合のよい願望」と混ぜると、本来の文脈から外れます。

信仰上は、天使よりも神の導きと摂理が中心にあるという順序が大切です。

守護の語りは、恐れを煽るためではなく、希望と節度の中で理解されるべきものです。

天使の九階級

天使の「九階級」は、天使を体系的に分類する枠組みとして広く知られています。

ただし、これは聖書の一覧そのものではなく、神学的整理として発展した側面が強い点に注意が必要です。

起源と全体像を押さえると、天使名の一覧も読み解きやすくなります。

九階級が広まった背景

九階級は、偽ディオニュシオス(Pseudo-Dionysius)の『天上位階論(The Celestial Hierarchy)』が強い影響を与えたとされます。

後世の神学はこの枠組みを参照し、天使を三つの位階×三つの階級として説明する傾向を強めました。

そのため、九階級は「伝統的説明として普及した分類」と理解するのが実務的です。

英語版テキストの参照としては、The Celestial Hierarchy(PDF)がまとまっています。

九階級の全体像

九階級は三つの位階に分けて語られることが多いです。

名称は訳語の揺れがあるため、日本語名と英語名をセットで把握すると迷いにくくなります。

次の表は一般的に流通する並びの要点です。

位階 階級 よく語られる特徴
第一位階 熾天使(Seraphim) 神への賛美、燃える愛
第一位階 智天使(Cherubim) 知恵、神秘の守り
第一位階 座天使(Thrones) 神の秩序の座、支え
第二位階 主天使(Dominions) 統率、秩序の維持
第二位階 力天使(Virtues) 力、奇跡の働きとして語られる
第二位階 能天使(Powers) 悪との対抗、守り
第三位階 権天使(Principalities) 共同体や国の導きとして語られる
第三位階 大天使(Archangels) 重要な知らせの担い手
第三位階 天使(Angels) 人への助け、最も身近な働き

九階級で誤解されやすい点

九階級は便利な枠組みですが、理解を誤ると「天使カタログ」になってしまいます。

あくまで神の働きを説明するための整理として読むと、無理なく宗教的文脈に戻せます。

  • 九階級は聖書の章立てそのものではない
  • 階級名は翻訳で表記が揺れる
  • 階級と個別の天使名は混同しやすい
  • 創作作品の設定が混ざりやすい

階級名の訳語のゆれ

たとえば「主天使」は九階級の一つとしての訳語であり、「大天使」と同義ではありません。

一方で英語圏ではDominionsを「主権」と訳す場合もあり、比較の際に迷いが生まれます。

一覧を作るときは、原語表記とセットで整理すると誤認を避けやすくなります。

九階級の並び自体は、解説資料としてPseudo-Dionysiusの整理を紹介するページなどで確認できます。

大天使の名前が少ない理由

「キリスト教の天使一覧」を探す人がつまずく最大ポイントは、正典に明記された固有名が少ないことです。

この事実を押さえるだけで、ネット上の天使名リストを過信しにくくなります。

ここでは、なぜ名前が限定されるのかを整理します。

聖書で名が明かされる天使は限られる

カトリック教会では、聖書に名前と働きが記される大天使としてミカエル、ガブリエル、ラファエルが特に重視されます。

この三者を9月29日に記念する慣習は、典礼上の整理として理解しやすいです。

「名があるから重要」というより、「信仰告知の文脈で名が示されている」という順序で捉えると誤解が減ります。

例として、三位の大天使に触れる解説はサンパウロの解説などで確認できます。

外典・伝承の天使名は扱いが分かれる

ウリエルなどの名は、外典・偽典や地域伝統で言及される一方、正典中心の教派では重心が置かれません。

そのため「一覧」に含めること自体は可能でも、教義上の優先度は別として整理する必要があります。

混乱の原因は、宗派差というより「参照する文献層の違い」にあることが多いです。

外典側の位置づけ差に触れる議論としてはUrielの扱いに関する解説が参考になります。

教派別に「どこまで名前を採用するか」が違う

「同じキリスト教でも一覧が違う」のは自然な現象です。

少なくとも、正典中心の伝統と、より広い伝承文献を用いる伝統とで扱いが変わります。

次の表は、一覧を見るときの整理のための目安です。

伝統の目安 名を挙げやすい範囲 注意点
カトリック(西方) ミカエル/ガブリエル/ラファエル 正典中心で外典名の扱いは慎重
プロテスタント ミカエル/ガブリエル中心 正典外の名を避ける傾向
東方正教会系 七大天使として挙げる場合がある 地域・典礼によって差がある
東方系の一部伝統 エノク書系の名が出る場合がある どの文献を権威づけるかで差

天使名一覧を読むときの注意

天使名は魅力的ですが、情報の層を混ぜると誤解が増えます。

「一覧」は便利な反面、出典表示がないものほど危険です。

  • 正典の記述か、外典・伝承かを先に分ける
  • 同名異表記(綴り違い)を疑う
  • 創作設定が混ざった一覧を鵜呑みにしない
  • 教派・地域の前提が書かれているか確認する

天使一覧を知りたい人の調べ方

「一覧」を正しく作るには、情報源の優先順位を決めるのが最も重要です。

先に一次に近い資料を押さえ、次に伝統的整理と文化資料で補うと破綻しにくくなります。

ここでは現実的に再現できる調べ方を整理します。

まず聖書本文を当たる

最優先は聖書であり、固有名が出る箇所を確認すると「核」が固まります。

ミカエルはダニエル書や黙示録、ガブリエルはルカ福音書、ラファエルはトビト記の文脈で追うのが基本です。

この段階で「名が出ないのが普通」という感覚が身につきます。

その後に一覧を見ると、過剰な列挙を自然に見分けられるようになります。

典礼と教会の教えで範囲を確定する

教会の教えは、天使の存在と位置づけを整理するための基準になります。

特にカトリックの枠組みでは、カテキズムが天使を霊的被造物として説明しており、信仰理解の土台になります。

「神と天使の区別」を固定すると、一覧づくりが信仰から逸れにくくなります。

参照の起点としてはバチカン公式のカテキズム該当箇所が使いやすいです。

調べるときのチェックリスト

一覧を作る作業は、情報の整形よりも「混入防止」が本質です。

次の観点でふるいにかけると、短時間で精度が上がります。

  • 出典が明記されているか
  • 正典・外典・伝承が区別されているか
  • 教派や地域の前提が書かれているか
  • 名前の別表記が整理されているか
  • 役割説明が過剰に断定的ではないか

情報源別の強みと注意

一覧を学習目的で使うなら、情報源の性格を理解して使い分けるのが安全です。

とくに「九階級」と「固有名」を一緒に書く資料は、構造が混ざりやすいので注意が必要です。

次の表は用途別の使い分けの目安です。

情報源 強み 注意点
聖書本文 最優先の根拠 固有名は多くない
カテキズム等 教義上の位置づけ 一覧の網羅は目的でない
九階級の整理 体系理解が進む 聖書の直接記述と混同しない
美術・文学 象徴の理解が深まる 創作表現が含まれる

要点を押さえて天使の理解を深めよう

キリスト教の天使一覧は、名前を増やすほど正確になるとは限りません。

まずは正典で名が明かされる大天使を核にし、次に九階級という枠組みで全体像を整理するのが近道です。

外典・伝承の天使名は、出典と教派の前提を明記して「別枠」で扱うと混乱が減ります。

この手順で読むと、一覧は暗記用の表ではなく、信仰文化を理解する地図として機能し始めます。